Posted by なぎさ - 2009.05.18,Mon
よしよしと頭を撫でてやると、綱吉は小さく身じろぎしたが血を飲むのは止めない。よっぽど足りなかったのだろう。
しばらくすると綱吉の血を飲み下すペースが落ちてくる。これもいつも通り。ついには首から口が離れて、綱吉は骸の胸にぽすんと納まった。少し荒い呼吸音がすぐ下から聞こえる。
「おやおや、もう寝ちゃいましたか。つまらないですね…」
小刻みに震える綱吉の身体には異変が起き始めていた。男に…、戻る。
「ずっと、女でいればいいのに…」
そうすれば、二人の永遠を刻めるのに…
やはり生前に男であった綱吉を女として甦らせることは出来なかった。実際に今女だったのだから出来なかったと言えば嘘になるが、女になる度に死にそうになっていては意味がない。
「綱吉くん、屋上にいるって言ってましたよね…」
骸は屋上への階段を登りながらぽそりと独りごちた。授業も終わり帰ろうと思ったのだが、綱吉を置いて帰るわけにはいかない。
〝彼は…ヴァンパイア…〝
そう、本人も言っていた。その自称ヴァンパイアが何故自分のところに来たのだろうか。あの様子からするに、自分を食いつぶしに来たわけではないようだが…
不明なことが多すぎる。頭がパニックを起こしそうだ。
本日何回目かのため息をつくと、骸は屋上のドアに手を掛けた。
出会ってはいけない二人が 出会う
「え…」
「おやおや…」
骸は屋上に足を踏み入れた途端、顔を強張らせた。心臓が早鐘を打つ。冷や汗がドッと吹き出し、背中に冷たい汗が伝う。
少し先にいるのは、どこからどう見ても自分。
そして、その腕の中でぐったりとしているのは、綱吉。
「だ、誰ですか…君…」
震える声で問えば、その自分そっくりの人物は、綱吉を抱き寄せたままニヤリと底冷えのする笑みを浮かべて立ち上がった。漆黒のマントを翻して自分のほうを見たのは…やはり、自分。ただ、自分にはあんな笑みは作れない気がする。
「わざわざそちらから来てくれるなんてね。行く手間が省けました。殺されに来てくれたんですか?」
「殺さっ…?」
何か危ないものを感じて、骸は半歩後ろに下がった。底知れぬ恐怖が全身を支配する。見つめ合っているだけで魂さえも奪われてしまうのではないかと錯覚させるほどの何か、恐ろしいもの…
「綱吉は言いましたけどね。君は、僕だと。ですが…二人もいらないと思うんですよね」
しばらくすると綱吉の血を飲み下すペースが落ちてくる。これもいつも通り。ついには首から口が離れて、綱吉は骸の胸にぽすんと納まった。少し荒い呼吸音がすぐ下から聞こえる。
「おやおや、もう寝ちゃいましたか。つまらないですね…」
小刻みに震える綱吉の身体には異変が起き始めていた。男に…、戻る。
「ずっと、女でいればいいのに…」
そうすれば、二人の永遠を刻めるのに…
やはり生前に男であった綱吉を女として甦らせることは出来なかった。実際に今女だったのだから出来なかったと言えば嘘になるが、女になる度に死にそうになっていては意味がない。
「綱吉くん、屋上にいるって言ってましたよね…」
骸は屋上への階段を登りながらぽそりと独りごちた。授業も終わり帰ろうと思ったのだが、綱吉を置いて帰るわけにはいかない。
〝彼は…ヴァンパイア…〝
そう、本人も言っていた。その自称ヴァンパイアが何故自分のところに来たのだろうか。あの様子からするに、自分を食いつぶしに来たわけではないようだが…
不明なことが多すぎる。頭がパニックを起こしそうだ。
本日何回目かのため息をつくと、骸は屋上のドアに手を掛けた。
出会ってはいけない二人が 出会う
「え…」
「おやおや…」
骸は屋上に足を踏み入れた途端、顔を強張らせた。心臓が早鐘を打つ。冷や汗がドッと吹き出し、背中に冷たい汗が伝う。
少し先にいるのは、どこからどう見ても自分。
そして、その腕の中でぐったりとしているのは、綱吉。
「だ、誰ですか…君…」
震える声で問えば、その自分そっくりの人物は、綱吉を抱き寄せたままニヤリと底冷えのする笑みを浮かべて立ち上がった。漆黒のマントを翻して自分のほうを見たのは…やはり、自分。ただ、自分にはあんな笑みは作れない気がする。
「わざわざそちらから来てくれるなんてね。行く手間が省けました。殺されに来てくれたんですか?」
「殺さっ…?」
何か危ないものを感じて、骸は半歩後ろに下がった。底知れぬ恐怖が全身を支配する。見つめ合っているだけで魂さえも奪われてしまうのではないかと錯覚させるほどの何か、恐ろしいもの…
「綱吉は言いましたけどね。君は、僕だと。ですが…二人もいらないと思うんですよね」
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