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Posted by なぎさ - 2009.05.10,Sun
「ど…して…」
「クフフ…ずいぶん欲求不満みたいですねぇ…」
「…っ!」
こちらにゆっくりと歩み寄ってくる骸から逃げるように、一歩一歩後退る。しかし、すぐに背中がフェンスにぶつかってしまい後退も出来なくなる。骸とフェンスに挟まれて、身動きが取れなくなる。
「な…何しに…」
「決まってるでしょう?殺しに来たんですよ、彼をね。今までだって殺そうと思えばいつでも殺せた。君が彼を守ろうと、結果は何も変わらないんですよ」
「殺させない…殺させないよ…」
その冷たい瞳に見つめられて、背筋がゾクゾクする。目をそらしたいのに、その宝石のように鮮やかな血と海に引き込まれてしまったようにかなわない。頬に触れてくるその冷たい手も振り払えない。
…骸を前にすると、自分には何の力もないのだと思い知らされる。所詮自分は骸の人形。でも…人形にだって、許せないことはある。
「駄目…骸は…おまえだ」
泣きそうな顔で骸を見つめる。
しかし綱吉がそう呟いた瞬間、骸の手が綱吉の口を乱暴に塞いだ。片手で綱吉の両頬を捕らえつつ口を塞いだ骸からは、先ほどの作り笑顔は消えていた。
それは、言ってはいけない言葉だった。
「アレは僕ではない」
無表情に見下ろしてくる骸に必死で首を振る。違う、あれは、骸。そして、おまえも、骸。そう口に出したいのに、口を塞がれていてはそれもかなわない。
「おとなしく僕の元に帰って来るのなら許してあげるつもりでしたけどねぇ…」
目だけで否定を唱える綱吉を無表情で見ていた骸だったが、不意にその綱吉の口を塞いでいた片手をその華奢な首へと移動させた。その首筋を撫でるようにして、手に少しだけ力を込める。綱吉からひっと声が漏れたのを聞くと、その口元はニヤリとつり上がった。笑ったままの口をそのまま綱吉の首筋へともっていく。
「あんまり反抗するって言うなら、今ココで血、吸い尽くしちゃいますよ?」
冗談ではないと示すかのように、骸はその牙を綱吉の首筋に立てる。綱吉がビクリと震えたその瞬間、骸の牙は綱吉に食い込んでいた。
「あっ、ああぁあああぁあああっっっ!!!」

〝なくなる!なくなる!なくなる!〝

首筋の痛みとともに身体から力が抜けていく感覚。全てが奪われていく感覚。恐怖、そして絶望。
絶叫する綱吉から口を離すと、骸はゆっくりと綱吉の首元がら顔を上げた。呆れたように、しかし明らかに楽しそうに綱吉の頬をつうと撫でる。
「そんなに採ってません。大袈裟ですね」
顔を真っ青にしてぜぇぜぇ荒い呼吸を繰り返す綱吉を、骸は愛おしげに眺めた。
「ほら、欲しくなったでしょう?あげますよ」

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