Posted by なぎさ - 2010.01.19,Tue
彼らの実力を見て、感じた。
あぁ、こいつらだ…と。
皆には悪いが、この襲撃は皆の本気を知る絶好の機会。
利用、させてもらう。
「なぁ泰夫」
「んー?」
スタート宣言した後バラバラに散った一行だが、ジョットはちゃっかり泰夫の横に並んでいた。
ジョットが記憶を辿るに、文献には明治維新後に陰陽師のような業は厳重に規制されたため、その跡は絶ったとされていたはずだ。しかしさっき一樹は『陰陽道』と言わなかったか?
「おまえさ、陰陽師ってやつなのか?」
「……そうだったら?」
「別に他意はないけど…あんな人間離れした技、初めて見たから。すごいな、と…」
「俺から言わせればジョットのほうが人間離れしてるけどね」
ポソリと呟かれた泰夫の言葉は、ジョットが敵に向かって一気に加速したため彼の耳に入ることはなかった。
こちらに向かって銃を構える敵、5人ほどだが、装填前の状態では到底ジョットのスピードには追いつかない。敵が引き金を引いたときには、すでにジョットは彼らの背後に回り込んでいた。
目の前から消えた相手に呆然とする敵に、背後から容赦ない殴打が降り注ぐ。死ぬ気の炎で殴られれば一発でダウンしない者はいないに等しかった。
「…ジョットと一緒だと俺絶対最下位な気がする」
「ん?なんか言ったか泰夫」
「じゃあね」
敵を沈めて朗らかにこちらを振り返ったジョットに、泰夫は片手をあげてすぐに身を翻す。いきなり逃亡した泰夫に呆然としていたジョットだったが、すぐに我に返って遠ざかる背中を追おうとした。
…が、
「僕と一緒に行きましょう家康くん!」
「ぐえっ!?」
背後から誰かにタックルされて豪快に前につんのめった。
きっと相手は抱きついたつもりに違いない。
「…あぁ、フられて可哀想な家康くん。僕なら君とずっと一緒にいてあげますよ?」
前のめりになったままの背中に走る悪寒。
「っ、なんのつもりだ隼!」
というかいつの間にいたのか。
体勢を立て直すと同時に隼の腕を振りほどいてジョットは目の前の男と向かい合った。
思い切り睨みつけてやれば、反対に向こうはニコリと笑う。
「いえ、一人じゃ寂しいのではないかと思いまして」
「俺は泰夫といたかったんだ」
「詮索者は嫌われますよ~」
「…おまえはどうなんだよ」
「僕のことは君が望むのでしたら、それこそいくらでも!むしろ詮索して欲しいくらいですよ」
両手を広げて嬉しそうにそう言う隼に、ジョットは盛大に顔をしかめた。
駄目だ、こいつと話してると頭が痛くなる。
「早く、知ってくださいね」
「え?」
顔を上げてふと見えた隼の顔が一瞬真面目なものにみえて、思わず息を飲む。
時々不意に見せるその顔が…激しく自分を不安にさせる。
いつも薄っぺらい顔ばかり見せてくるくせに、どうして時折そんな顔を見せる。
「おまえは…いったい俺にどうして欲しいんだ…」
「余所見してていいんですか家康くん」
軽い動作で投げられた小刀がジョットの脳天のすぐ上を飛ぶ。
それは正確にナイフを振り上げる後方の敵の手首に刺さった。
「別に。これくらい真後ろに来てからでも十分だろ」
相変わらず大事なところだけはぐらかされる。
あからさまにおもしろくない顔をしているであろう自分を見て、隼はクスクスと含み笑いを漏らしている。
「何がおかしいんだ」
「いえ、いいんですか?勝負…あっさり僕に回してしまって…」
「…………、っあーーーーー!!!」
完全に頭から飛んでいた。
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