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Posted by なぎさ - 2010.06.03,Thu
自分の心の声が聞こえたかのようなタイミングに思わずギクリとなる。
訝しげに隼を見れば、彼はベッドから腰を上げてこちらに歩み寄ってきた。
頬に伸ばされた手を甘んじて受けながら、猫のように細められたその目をジッと見る。
…が、彼の思考は当たり前だが読みとれなかった。
そのまま隼は屈み込んでジョットの膝に顎を乗せてきた。

「頭なでなでとかしてくれたら嬉しいです」
「…あほか!!」

一気に顔が紅潮するのが分かってなんとなく悔しい。
そのまま両手でもって隼の頭を膝の上から押し除ければ、向こうはケロッとした顔で残念、と呟いた。
動揺しているのがこちらだけというのが余計に悔しい。

「なんだよ慰めるって。重大なことってお前がらみのことなのか?

やっとのことでそれだけ絞り出せば、隼は珍しく困ったように小さく首を傾けた。
彼がこんな顔をするのは本当に珍しい。
レアなものを見た気分になって少しだけ身を乗り出せば、それに気づいた隼がすぐに顔をそらせた。

「…まぁ個人的にはそうです。結果的には君が嬉しくないことにも繋がるでしょうけど…」

しゃべりすぎました、と早口に言うと、隼は用は済んだと言わんばかりに部屋から立ち去ろうとする。
ここで帰るとかないだろう。
背を向けた彼のジャケットの裾をなんとかギリギリで掴むと、ジョットも些か早口に一気にまくし立てた。

「おまえ9時にまたここに来い、予定ないだろ?」

本当は隼が言ったことをもっと言及したかったのだが、これ以上話すつもりがなさそうな隼に言えたのはそれだけだった。
言われた隼は不思議そうな顔をしていたものの、ジョットがもちろん他の皆も呼ぶと付け足すと、それは残念と呟いて今度こそ部屋から出 ていった。
腕を軽く上げてひらひらと手を振る彼は、もちろん全然残念そうには見えない。

“相変わらず自由な奴…“

ジョットはパタンと閉まったドアに向かって虚しく溜め息をついた
しかし、いつのもことかと思い直しすぐに立ち上がる。
あの様子ならば来てくれるだろう。…多分。
それよりも他の人に連絡を取らなければいけない。
…おそらく皆まだ部屋にいると思うが…
いや、いて欲しい。いてください。
ジョットは心の中で祈りながら部屋を出た。
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