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Posted by なぎさ - 2011.05.21,Sat
最近牧場物語にお熱過ぎて小説が全然進まないよやっほい。
君と育つ島面白いよ!
あと青エクが…面白すぎて…いろいろと旅に出てしまいます…どうにかしなければ…

ということで、続きから以前の続きです~。まだレッドと会えないorz


 少し古びた研究施設のような出で立ちの建物。 
掃除は徹底されているのか蜘蛛の巣や目立つゴミは見あたらないが、壁に入る薄い亀裂がこの建物の古さを物語っている。 
電気の付いたエントランスは避けて裏口の方に回った一行の先にいたのは、黒ずくめの見張りの男だった。 

「何で裏口にも見張りがいるんだよ」 
「怪しすぎますねこの建物…見られちゃやばいものでも隠してるのかな…」 

見事に進入の出鼻を挫かれたグリーンが、草陰から裏口を覗きながら忌々しそうに舌打ちをして言う。 
コトネもさすがに違和感を感じ始めたのか、裏口に椅子を置いてそこに座る目つきの悪い男をじとりと見ている。 
男の腰にはボールが5つ。 
前回の件もあって、グリーンから見たら正直、保護条例にかかっていないポケモンかどうかも甚だ怪しい。 
対する自分は… 
腰に二つ付いたボールをすっと指で撫でれば、片方が小さくカタカタと動いた。 
もう片方はぴくりとも反応しない…言わずもがな、レッドのピカチュウである。 
仮にも自分以外の手持ちであるピカチュウは出すわけにはいかない。 
その持ち主を捜し出すためにも、こんなところで油を売っている暇はないのだ。 
一度深く息を吸ってからピカチュウではないほうのボールにグリーンが手をかけた瞬間、 

「焦らないでください、グリーンさん」 

その手を隣のコトネがぐっと掴んだ。 
少しだけ驚いて隣を見れば、コトネがニコリと笑って裏口の方を指さした。 

「疲れてたのかな?寝ちゃったみたいですよ」 
「え…」 

改めてそちらに目を向ければ、その見張りの男がこくり、こくりと船を漕いでいるのが分かる。 
そしてグリーンが見つめる先で、その男は完全に頭を垂れてしまった。 
何が起きたのかと困惑した表情のグリーンはそのままに、コトネとヒビキは草陰から躊躇なく身体を起こし、裏口に向かって歩いていく。 
その後をとことこと付いていく小さな影を認めたとき、グリーンはやっと合点がいった。 

「チコリータ…“くさぶえ”か…?」 

チコッと控えめに返事をしたチコリータが、振り返って得意げな顔をグリーンに見せる。 
どうやら草むらに紛れて男に近づき、技を発動させていたようだ。 
コトネは無言で頷くと、熟睡する見張りの横を素通りして裏口のドアを静かに開け、廊下に誰もいないことを確認した後にグリーンを手招きした。 
グリーンも小さく頷いて、居心地が悪そうに後ろに佇むシルバーを目線だけで促す。 
シルバーは一瞬たじろいたが、次の瞬間には諦めたのかおとなしくグリーンの後に続いて草陰から立ち上がった。 






建物内の廊下は外観にそぐわず小綺麗だった。 
どうやら思った以上に人が出入りしているらしい。 
付けっぱなしの電気といい、これはかなり人とすれ違う確率が高そうだとグリーンの中で少しだけ緊張が高まった。 
しかし、静かな建物内は耳を澄ませていれば大抵の足音は聞こえてきそうであるし、幸いにも十字路が多い作りの廊下のため、誰かと鉢合わせになりそうになっても回避しやすそうである。 

「で、グリーンさん。私たちは誰を捜してるんですか?レッドさんってことでいいんですか?」 

今更ですけど、とコトネが小声でグリーンに尋ねた。 
言われてグリーンの思考はしばらく固まった。 
そういえば、どうなのだろう。 
レッドはレッドで間違いないのだが、もしかしたら男のレッドではないのかもしれない。 
攫われた瞬間は女の姿であったわけだし… 

「ん、んー……とりあえず、黒髪で、目が赤いやつ…」 

性別には敢えて触れずにそれだけ答える。 
コトネは歯切れの悪いグリーンに訝しげな視線を寄越すが、次の瞬間ハッと目を見開いた。 
微かに聞こえた足音。 
音が反響してどこから聞こえてくるのかいまいち分からないが、こちらに向かって近づいて来ているのは確実。 
他の全員も一泊遅れて足音に気づいたらしく、顔が僅かに強張る。 
とりあえず今来た方向に戻ろうと皆が踵を返した瞬間、シルバーの靴がコツ、と小さな音を鳴らした。 

「っ!?」「アホッ!」 

小声で罵倒するももう遅い。 
「誰かいるのか」と向こうから声がかかる。 
速くなる足音。近づいてくる気配。 

「責任とってねシルバーくん」 
「え…」 

コトネがニコリと微笑むのがシルバーの目の端に映った。 
そのまま肩に軽い衝撃がきて、肩を廊下側に押されたのだと分かる。 
いきなりの衝撃にバランスを崩して倒れ込んだ十字路の廊下の先に、一つの人影が迫っていた。 
バクバクと急激に鼓動を早める心臓。 

「…こんな所でいったい何をしているんだ?」 

聞き慣れた低い声。 
シルバーの背中に冷たい汗が伝う。 
ゆっくりと顔を上げれば、 

「お、親父…」 

最も遭遇したくなかった相手がそこに立っていた。 






「おい、シルバーのやつ大丈夫かよ」 
「まぁなんとかなるでしょ。一応ここの持ち主のお坊ちゃんなわけですし」 

先程グリーンが述べた内容をそのままグリーンに返しながらコトネが腰のボールに手をかける。 
召還スイッチが押されたそのボールから、一度は戻されていたチコリータが再びその姿を現した。 
進化系であるベイリーフやメガニウムは条例で保護指定を受けているが、進化前であるチコリータは指定から外れている。 
コトネのチコリータも、進化しない限り取り上げられることはない。 
恐らく首にかけられている『かわらずのいし』がチコリータのままでいさせているのだろう。 
極力音を立てずに疾走する3人だったが、不意に数メートル先のドアが開いて全員同時に息をのんだ。 
隠れる場所は…ない、というか、ドアから出てきた中年の男性が驚愕した表情でこちらを見て固まっている。 

「ちっ、チコリータ、〝くさぶえ〟!」 

指示を受けたチコリータから、不思議と耳に馴染む甲高い音色が発せられる。 
ヒビキとコトネが同時に耳をふさいだのを見てグリーンも慌てて耳をふさいだ。 
見事にその音色を聞いた男がふにゃりと崩れ落ちてドアの前で俯せに倒れる。 
しかし、それを確認してホッとしたのもつかの間、開いたままのドアからもう一人研究員らしき人が出てきた。 
いきなり倒れたその人を心配して出てきたらしい。 

「もっかい〝くさぶえ〟!」 

しかし今度は外れてしまい、コトネの声に反応したその研究員がこちらを険しい顔で見てくる。 
そしてその腰のボールに手をかけたところで、 

「ヒノアラシ、〝えんまく〟」 

すでにボールから出ていたヒビキのヒノアラシからその研究員へと黒い靄が放たれて、彼の視界を黒く覆った。

「くっそ、いけメタグロス!」 
「っ!」 

視界をやられてがむしゃらに投げられたボールから出てきたのはメタグロス。 
狭い廊下にメタグロス。 
3人全員が心の中で「あほか!」とつっこむが、しかしヒビキにとってはこれは好都合である。 

「〝ふんか〟!」 

指示を受けた途端ヒノアラシの背から猛火が吹き出し、その勢いのままに、動くこともままならないメタグロスの身体に降り注がれる。 

「ヒノアラシ、もう一回〝えんまく〟!」 

今度は廊下全体に撒き散らされた黒い靄。 
ヒビキの「行こう」の声のままに、3人はその靄の中を突っ切ってすぐ先の曲がり角を曲がった。 

「おいおい…噴火覚えてるとか、おまえのヒノアラシレベルいくつだよ…」 
「え~…今57くらいですかね?」 
「え!ヒビキくん前より上がってない!?」 
「そりゃあコトネには負けたくないからね」 
「むぅぅ~!私もすぐに追いつくから!!」 

まじかよ、という言葉はコトネによりかき消されてしまった。 
掛け合いから察するに、コトネのチコリータも同レベルくらいということだろうか。 

「それは頼もしいことで…」 

苦笑しつつ、派手に暴れてしまったことにグリーンは内心頭を抱えた。 
草笛ならば穏便に済ませられたものの、ヒビキが煙幕+噴火という何とも派手な技を披露してくれたため、これはもう、侵入者ありと館内中に知れ渡るのも時間の問題だろう。 
というか、今まさに何かジリリリという警報音が鳴り響いている。 

「手分けして探しましょうグリーンさん」 

2回へと繋がる階段を二段飛ばしで駆け上がりながらヒビキがグリーンに言う。 
見たところ1階はすべて研究施設になっているようである。 
階段を上りきれば、2階には炊事場や連なる同じ形のドアが見えた。 
どうやら個室などは2階に設けられているらしい。 
しかし、シルバーのおかげでサカキが今日ここに来るという情報だけは掴んだものの、ここにレッドがいるという保証はないのである。 

「…おまえら、人が集まってくる前に逃げろ」 
「今更何言ってるんですか」 
「そうですよ」 

あからさまに顔をしかめてヒビキとコトネがグリーンの肩をバンバンと叩く。 
コトネの足下にいるチコリータも「チコチコッ」と怒ったように飛び跳ねている。 

「完全に侵入失敗だろうが」 
「グリーンさんも一緒に逃げるんならいいですけど~」 
「どうせ私たちが逃げた後も一人で探すつもりなんでしょう?」 

二人のまっすぐな目がグリーンを射抜く。 
グリーンはグッと言葉を詰まらせると、がりがりと頭をかいてヒビキとコトネの頭を軽く叩いた。 
何を言っても聞かなさそうな二人には………何を言っても結局無駄だ。 

「で、手がかりは無しですか?」 

コトネが叩かれた頭を押さえながら憮然とした表情で言う。 
グリーンはあの文化祭の時のサカキを思い出していた。 
確かあのときは、トイレの周りにフーディンが壁をはっていた。 
今回も、何の対策もなしに部屋に閉じ込めている、ということはないだろう。 

「エスパーポケモンがいる部屋の近く…かもしれない」 
「了解です」 
「見つけたら大声で叫ぶんで、グリーンさんもちゃんと叫んでくださいね」 
「誰が叫ぶか」 

最後にもう一度二人の頭を軽く小突いて、グリーンはニッと不敵な笑みを浮かべた。 
それにコトネとヒビキも笑って頷いて、3人はバラバラに散った。 
グリーンはとりあえず一番近い部屋へと近づくと、躊躇いなくそのドアを開けた。 
中には誰もいない。 
この時間帯であるし、建物内にいる人も起きている人も少ないだろうという目論見だったが、どうやら間違いではないらしい。 
中にはベッドと机、軽い家具などしかなく、どちらかと言えば仮眠室のような印象を受ける。 
グリーンはドアは開け放したまま隣の部屋に行き、同じく躊躇無しにドアを開けた。 
またハズレ。そして次のドアへ。ハズレ。次もハズレ。 
片っ端からドアを開けていく。 
そして6つ目でようやく鍵のかかったドアに当たった。 
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