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Posted by なぎさ - 2009.06.09,Tue
 えとね!えとね!
カナデさんがね!ムクツナ小説を書いてくださいました!!
やたね!ヽ(*^。^*)ノ
うぅぅ、ありがとうございます!ありがとうございます!
嬉しすぎます…!!

ということで、追記でカナデさんの素敵小説ですっ!
(ちゅーあります。苦手な方は注意です)

また落ち着いたらサイトのほうにアップさせてくださいっ!

 
 
 ぴぴぴ、と電子音がやけに静まり返った部屋に響いた。8度9分。微熱の域を超えた数字が小さな体温計の画面に表示された。あらあら、と困ったようにほほに手を当てる母親を薄く開いた眼で見上げながら綱吉はぎこちなく笑ってみせた。
 
 顔が、手が足が、すべてが重く、なんだか熱をもっているような気もするし、ひどく寒いような気もする。現れた症状は風邪というより他に言い表しようがなく、おとなしく寝ているよりほかに治療法はない。今の医療では。
 
 「仕方ないわね。学校に連絡入れておくから、今日は一日ゆっくりしてなさい」
 
 お昼になったらお粥作って持ってきてあげるから、と言った母の背中がぼやけた視界から消えていった。
 
 (ほんとはこんなことしてられないのに…)
 
 綱吉は薄れていく意識の中必死で手を伸ばした。
 
 ******
 
 何か冷たいものが腕を撫でている。氷のように気持ちがいいのに、刺すような鋭さはない。とても優しい手つき。まさか、と思いながら瞼を持ち上げる。
 
「……骸、どうやって入ったかは敢えて聞かない、てか知りたくもないし――っでもなんで来るわけ!?来んなよ、こういう時くらい少しは遠慮しろ――っごほごほっ」
 
「無理しないでください。具合が悪いのに思ってもいないこと口にするからいけないんですよ?僕が来て嬉しいくせに」
 
 こちらから連絡したわけでもないのに、勝手に風邪の話を聞きつけ、無理やり部屋に侵入。まったく堂々としたストーカー行為には呆れるしかない。
 
「べ、別に嬉しいとかそういう…の…じゃないけど、…俺はお前に…用事があったから」
 
 口をもごもごさせているのは、当然熱のせいであって照れているわけではない。断じて。
 
 首を傾げる骸をちらっと見てから、視線を逸らして言った。
 
「はっぴーばーすでー、骸」
 
 沈黙。些か気まずくなってきたところで漸く骸が口を開いた。
 
「え?僕、今日誕生日なんですか?知りませんでした」
 
「な!俺こんな状態で骸に何もあげられないって悩んでたのに!なんだよそれっ!」
 
 がばっと布団を撥ね退けて起き上がったものの数秒しかその体勢は持たず、崩れ落ちる。
 
「気をつけて下さいね、君は病人なんですから」
 
 抱きとめられた状態のまま、顔は骸の胸に沈んでいる。ひんやりした服越しに伝わる心臓の音がいつもより僅かに速い。壊れものに触れるように髪を梳く手は、どこかぎこちなくて痛いような、くすぐったいような変な気持ちになった。
 
「ほんとゴメン。学校帰りに何か買おうと思ってたから、プレゼント用意できてない」
 
 せっかく骸がこの世界に生まれてきてくれたのに。
 
 おめでとう、と繰り返して、何もできなくてごめんな、と謝ることしかできない。
 
「―――君には、本当にがっかりですよ」
 
 低く、責めるような言葉に心臓が切り裂かれる。肝心な時に風邪を引いた我が身がいかに憎らしくとも、もうどうにもならない。
 
 骸は気まぐれだ。代わりの玩具など、掃いて捨てるほど居るのだから、自分一人が特別ではないなんて知っていたのに。あきられればそれでお終いなのだと知っていたのに。
 
「どうして泣いているんですか?綱吉くん」
 
 冷たい手が火照った頬にあてがわれて、酷くほっとしている自分を相当未練がましく思う。まるで構ってもらいたがりの子どもだ。救いようのない馬鹿。
 
「…だって。もうあきちゃったんだろ、俺のこと」
 
「っ!反則でしょう、涙は。それに綱吉くんに飽きるなんて…まだ満ち足りるほど僕はもらっていませんよ。全く君は愚かだ」
 
顎を持ち上げられると、一気に唇が触れそうな位置まで顔が近づく。
 
「愚かすぎて、時折壊したくなりますが。僕は君ほど愛おしい玩具に出会ったことはありません」
 
「じゃあ、俺のこと嫌になったわけじゃないんだな?」
 
 骸が息を呑む。白い喉が上下するのを見て、いよいよ自分がおかしなことを言っているのに気づいた。熱に浮かされた。こんなこと普段では決して言わない、というか言えない。
 
「これ以上素直で可愛らしいことを言われてしまうと、僕はどうにかなってしまうので塞がせてもらいますね」
 
 重ねられた唇は、綱吉のものよりも熱かったような気がした。
 
「ちょっ…やめろよ、風邪、移る…から」
 
「その時は君が看病してくれれば良いです」
 
その時。がちゃり、とドアノブが回された音が聞こえた。
 
「…お昼、持って来たわよ…。ええっと?お邪魔、しました~」
 
「ええっ!待ってよ母さん!」
 
「親公認ですか、これで堂々と君の家に泊まれますね」
 
「うっさい死ね!!」 
その後。 
『綱吉くん、真面目に風邪を引いてしまったんですが…ごほっごほごほごほ!』
 
「ふうん、自業自得だろ」
 
『!もとのツンに戻ってしまっている…僕は悲しいです』
 
 そういや誕生日にもらえなかったプレゼントを下さい、と要求されて綱吉は看病しに行ったとかしないとか。 
    おしまい。 
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