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Posted by なぎさ - 2010.08.04,Wed
 「ようこそデーチモ!」
 
どちらが上か下かも分からないただ白のみが敷き詰められた世界。
目の前で両手を広げて微笑む金髪碧眼の男。
そして、その男の前でパジャマのままぺたりと座り込んでその男をぽかんと見上げる少年。
 
「………プリーモ?」
 
夢の世界へようこそ!
 
そう言ってこちらに手を差し伸べた男の手を、簡単に握ってしまった。
握った瞬間が夢のハジマリ。
 
あなたと約束した、夢のハジマリ――――
 
 
 
 
   続・夢ヘノイザナイ
 
 
 
 
「久しぶりだな、デーチモ。会いたかったぞ」
 
無邪気に微笑む年齢不詳の彼、ジョット。
言葉どおりのその邪気の無い顔に知らずと見惚れていた少年、綱吉はハッとして握っていた手を放した。
いつの間にか周りは真っ白な世界から一転、緑の隙間から光が射し込む薄暗い森の中になっていた。
 
「えぇと…あれ…俺、布団に入って…それから…」
「それで終わりだ。言っただろう?“夢の世界”だと。やっと二人きりで遊べる機会が巡ってきたってことだ」
 
うんうんと嬉しそうに一人頷くジョットに、綱吉は首を傾げた。
前にジョットに会ってから数ヶ月は経っている。
ジョットもいろいろと忙しかったということだろうか。
 
「違う違う。お前の霧がいつも邪魔をするから呼び出せな…」
「え?」
「ん、んん。や、今のは気にしないでくれ」
 
ジョットは軽く咳払いをするとくるりと背を向けてひらひらと手を振った。
ちなみに、ジョットが喋った内容よりも自分の思考が読まれていたことの衝撃のほうが勝ったため、綱吉は内容に関しては深く追求することもなくジョットの横に並んだ。
 
「ど、どうして俺の考えてたことが分かったんですかっ?」
「可愛いおまえのことだ。考えてることなど目をつぶっていても分かる」
「…!?……プ、プリーモってたまにとんでもないことさらりと言いますよね」
 
赤くなって目をそらした綱吉を目の端に捉えて、ジョットの口端が僅かに上がる。
ジョットは綱吉の腕を掴むと、そのまま綱吉を木の幹に押し付けた。
綱吉を見れば、ジョットと木に挟まれて抱き込められた状態の綱吉は、先ほどよりも更に赤くなった顔を隠すように顔をそらしてしまう。
ジョットは小さくため息をつくと、意地悪い笑みを浮かべて綱吉の顎に手をかけた。
そのまま顔を自分のほうへと強制的に向かせる。
 
「こっちを見てくれないのか?綱吉…」
「へっ…つな…!?」
「デーチモプリーモとなんだか他人行儀じゃないか。俺のこともジョットを呼んでくれ」
「えっ、いや…えっと…」
「呼んでくれないのか?」
 
お互いの鼻先が触れるくらいに顔を近づけてそう問えば、今にも湯気が出てきそうなリンゴ状態の綱吉が涙目で自分を見てくる。
ここまでくるとどこまで赤くなるのか試してみたくなる。
…が、これ以上綱吉を困らせるのも可哀想かと思ったジョットは、パッと綱吉を拘束していた腕をほどく。
綱吉はぺたりと木の根元に座り込んでしまった。
そのまま顔を伏せてふるふる震えるのを見て慌てたのはジョットである。
 
「…すまない、別に意地悪したかったわけでは…」
 
が、しゃがみ込んだ瞬間にスーツの袖をくいと引かれて、ジョットは目を丸くする。
 
「ジョットの…馬鹿…」
「つ、なよし…」
 
ジョットはしばらくぽかんとしていたが、次の瞬間綱吉を思いきり抱きしめた。
 
「おまっ、可愛すぎるだろぉぉぉぉ!!!」

(続く)
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