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Posted by - 2025.07.17,Thu
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Posted by なぎさ - 2008.09.01,Mon
tokimeki1.jpgtokimeki2.jpgtokimeki3.jpgどうもです。やっとこさ完成しました(文自体は昨日書き終わってたんですが・・・)
リクエストいただいた、初代ツナです!!
・・・・すみません←みたいな話(もちろんケータイで描いた手抜き絵)なので、実は初代ツナはかなり少ないです。骸×ジョット多め(おまっ)
すすすすすみません!!しかも何故か復活学園ネタです。そして大いにネタバレを含みます。はっきり言って読まないほうがいいかもしれない品です(じゃあ書くなという反論は聞かないことにします、はい)
うーん・・・勘のいい方なら復活学園初代編の結末が分かってしまうかもしれませんねぇ・・・
とにかく、初代編が終わったことを前提に書いてある話なので・・・意味が分からないところが多々あると思います。
なのでアップはブログだけにしときますねっ;;また階段編終わった時に番外編としてサイトのほうにもアップしますので心置きなく放置してやってください。読まなくても大丈夫です(キラキラ
ただリクだけは消化・・・!ということで、リクくださった方、本当にありがとうございました!!!

個人的にはイマイチな出来です。すずらんには「ものたりない」とまで言われた品。
それでも読んでくださるのであれば、下のリンクをクリックしてくださいませ!!!









【僕は覚えている君はまだ知らない】
【僕は覚えている君は覚えてない】
【僕は知っている君はもう思い出せない】


聞こえる・・・・
声が・・・聞こえる・・・
知ってる?この声・・・
ううん、知らない・・・
でも・・・なんでかな・・・
自然に耳に入ってくる、聞き慣れた声・・・

・・・ジョット!

誰、ジョットって・・・
聞いたこと・・・ない・・・多分・・・

ジョット!!

まだ呼んでる。
俺はジョットじゃないよ。
綱吉。
沢田、綱吉。

ジョット!!

だから違うって・・・

「おいジョット!!」
「!!」
ツナは勢いよく顔を上げた。いきなり明るくなった視界に、
目がジンと痛む。
数秒して、やっと目の前で眉をつり上げる男に気づいた。
少し茶色がかった髪を後ろで一つに束ねている。そして、まぁまぁ整った顔立ちをしているが・・・・・知らない。
「おまえなぁ・・・居眠りもたいがいにしろよ?この書類の山なんとかしろよ!」
「・・・・?」
誰だろう。
何で自分が知らない男に叱られているのかさっぱり分からない。
「・・・なんだよ、そんな呆けた顔して。まだ寝ぼけてるのか?」
訝しげに顔を覗き込んでくる男をじっと見返す。しかし、やはり知らない。
いや、でもどこかで見たことがあるような・・・
「どちら様ですか・・・?」
「っ!?」
目の前の男が目を見開く。・・・・と同時にドアの方へ向かって声を張り上げた。
「大変だ!ジョ、ジョットが記憶喪失だーーーー!!誰だジョットを殴ったのはぁぁぁ!!!!」
「??????」
目の前の展開についていけずに目を白黒させる。そうしているうちにも、今ツナがいる部屋に4人、5人と続々と人が集まってきた。
「何?何?家康ガ記憶喪失!?ボクジャナイヨー!殴ッテナイヨー!」
「ああん?寝ぼけてるだけじゃねぇのか?」
「・・・・・・・・・」
黒人、目つきの悪い男、ぼーっとした男。どんどん部屋になだれ込んでくる。
そしてある男が入ってきたところで、ツナは息をのんだ。
「骸・・・先生?」
「?」
「先生!いったい何がどうなって・・・」
泣きそうな顔でそばに寄ると、その男は呆けたように首を傾げた。
「・・・・どうしたんですか、家康くん。せ、先生・・・?」

〝あれ?骸先生じゃ・・・ない?〝

骸だと思って近づいたその男は、よく見れば頭はパイナップルではないし、目も両方同じ色をしていた。紅くない。
しかし・・・知っている。
なかなか引っかかって出てこないけれど・・・知って・・・いる・・・

「何の騒ぎ?」
ドクンッ
最後に顔を覗かせた女に、ツナの心臓がはねた。
無表情だが、端正な顔立ちをしている、襟足の長い、パイナップル型の髪型をしている・・・彼女は・・・
ドクンッ ドクンッ ドクンッ
「髑髏先生・・・じゃない。も、もこ・・・さん・・・」
「え?」
「っ!?」
その瞬間、ものすごい勢いでツナの頭に情報が流れ込んできた。今まで隠れていた、故意に隠されていた、記憶。
思い出した。
どうして、忘れていたのか。
彼らは・・・彼女は・・・・

「そうか・・・最初のは・・・一樹さん・・・」
「!?」
豆鉄砲を食った鳩のような顔でそこに立ち尽くしている一樹を見やる。そうだ、見せてもらったじゃないか、骸先生に。彼は、嵐の守護者、一樹。
でも、どうして?
ここにいるのは初代ボンゴレのメンバー。俺が生まれる、ずっと、ずっと昔の話。

混乱する頭を整理しようと再び先ほど座っていた椅子に座り直す。しかし、座り直して、すぐに立ち上がった。

〝俺、こんなに背高かったっけ!?〝

地面までの距離が遠い。握っていた手を開いてみる。こんなに手、大きくない。
一気に血の気が引く気がした。
まさか・・・まさ、か・・・・
「鏡!鏡持ってないですか!?」
不意に叫ばれたことにビクリとした髀子だったが、ポケットから手鏡を取り出し、こちらに差し出してくれた。
震える手でそれを開けけば・・・現実に愕然となった。

そこに写っていたのは・・・・初代ボンゴレ、ジョット。

「うそだぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁあああっっっっ!!!!!」














「・・・・ん・・・」
目を開けると見慣れない景色が目の前に広がった。
・・・教室。
そう、教室だった。
懐かしい・・・ついこの間まで自分がいたような気がする、教室。
しかし・・・違う。自分のいるべき場所とは・・・
「10代目!目ぇ覚めましたか!ジュース買ってきたッス!どうぞ!」
目の前でパックのジュースを差し出す男をぼーっと見る。
誰だろう。
しかし自分に向けられる好意を無下にするわけにはいかない。
ニコリと笑うとそれを受け取った。
「ありがとう。悪いな」
「フブフォアアアァァアアァアアッッッ!!??/////」
いきなり顔を赤くして後ろ向きにひっくり返った男に驚いて椅子から立ち上がり数歩下がる。
なんだろう。病気か何かが発病したのだろうか。
慌てて男を覗き込めば、彼は鼻を押さえながら悶絶している。どうやら命に別状はなさそうだ。
「じゅ、10代目ぇ・・・いっ、色気が・・・色気がぁっっ・・・
「・・・・?」
眉根を寄せて彼を見るが、謎は深まるばかりである。
色気?10代目・・・?
自分の名前は、10代目ではない。
「俺は・・・ジョットだ。おまえ、人違いでもしてるのか?それともやはりどこか悪いのか?」
心配になったジョットは倒れている彼を抱き起こした。
とりあえず、保健室まで運ばなければ・・・
周りが目を丸くして見てくるが、時は一刻を争うかもしれない。完全にのびている彼を肩に担ぐと、ジョットは教室から飛び出した。
保健室の位置なら・・・知っている。
階段の踊り場にさしかかったところで、向こう側から現れた男が目を丸くして声をかけてきた。非常に背の高い男だ。というか、周りの人皆が背が高い。訝しく思いながらも、今は急がなければならない。
「おい!どこ行くんだよ、獄寺どうかしたのか?」
「保健室だ!」
それだけ答えると、ジョットは男とすれ違って階段を下りた。
この倒れた男は獄寺というらしい。
というか、非常に重い・・・この男。倒れているのを見たときはそれほどでもないと思ったが、いざ担ぎ上げれば・・・かなりの重量。
ジョットは保健室のベッドに、彼、獄寺を寝かせた。
額に浮かんだ汗をぐいと拭う。これだけの距離なのに、どうしてこんなに疲れるのか。
ぐるりと保健室を見てみたが、どうやら先生は不在のようだ。とりあえず冷やすだけでも・・・と、冷凍庫から氷を出そうとしたところで、
綱吉くん聞きましたよ獄寺隼人と保健室にしけこんでなにやらかそうってんですかーーー!?そういうことをしてもいいのは僕とだけだと何度言えば・・・」
ドアを壊れるほどの勢いで開け、男が顔を引きつらせて入ってきた。
ジョットは冷凍庫を開けたまま顔だけはそちらに向け、ぽかんと口を開けてその男を見た。
「はや・・・ぶ、さ?」
「は?」
数秒お互いに固まったままだった二人だったが、先にジョットが冷凍庫をパタンとしめ、目の前の男と向かい合った。
「隼だろ?おまえ、そんなに背高かったか?」
一歩ずつ距離を詰める。しかし、近づいていくほどその男が隼ではないことが分かってきた。
まず、目の色が違う。目の前の男は青と赤のオッドアイだった。背も高すぎる。それに・・・髪型が・・・
「モモ・・・」
「っ!!」
男はピクリと肩をふるわせると、いきなりジョットの両肩を掴み、壁へと押しつけた。
青と赤のコントラストが目前に迫る。
「なっ」
「思い出したんですか、綱吉くん!?ど・・・し、て・・・・」
真剣な顔で自分を見てくる瞳に困惑は強まるばかりだった。
自分は綱吉ではない。この男が何を言っているのか分からない。そして、この男は自分が知っている隼ではない。しかし、あまりにも似ていた。
息がかかりそうなほど接近している顔に、そっと手を持って行き、その頬をスッと撫でる。
「おまえは・・・誰だ・・・?」
「骸・・・六道、骸です・・・」
見上げるようにしてそっと問いかければ、その男はポソリと答えてくれた。
しかし本人は無意識に言ってしまったようでハッとしたように身を引き、しまったというように目をそらせた。
「むくろ・・・骨に、亥で、骸か」
頭の中で何かが繋がるような気がした。しかし、まだ、足りない。
「骸、おまえは、隼の親族か何かか?」
「・・・・・・」
骸は目の前の綱吉をジッと見た。違う。思い出したわけではない。確かにあのとき記憶は封じた。
綱吉では・・・ない。
そうすると、これは・・・


輪廻の記憶の歯車が回り出す。

刻まれた記憶が溢れ出してくる。

ずっと、ずっと前に終わったはずの感情が・・・・





止まらない。






ガシッと両頬を挟んで引き寄せれば、目をぱちくりさせたブラウンの瞳が自分を映しているのが目に入った。
「相変わらずの天然タラシですね、家康くん・・・・」
ニヤリと笑えば、綱吉、ジョットはギョッとしたように身を引こうとした。しかし、骸の手がそれを許さなかった。
「はやっ」
「ジョットなんでしょう?ねぇ・・・」
空いているほうのベッドに押し倒せば、思考が追いついていないらしいジョットが口をぱくぱくさせる。
押し返そうとするが、違いすぎる体格差がそれを許さない。そこではじめて気がついた。
自分の身体ではない。自分はこんなに手は小さくないし、腕も足も短くない。
皆の背が高いのではない。自分が、小さくなっている。
自分を見下ろす男を見上げれば、悲しそうに、苦しそうに顔を歪めてこちらを見ていた。
「な・・にが、どう、なって・・・」
「どうして、捨てていったんですか?あんなに、あんなに好きだったのに・・・愛して、たのに・・・」
「・・・・っ?」
「答えて、ジョット・・・・」
違う、隼では・・・ない。
「ジョット!」

モモ・・・?

・・・・・・・・・・違う・・・

「骸!!」
「っ!?」
ジョットの声に骸はハッとしたように身を起こした。
自分に対してかけられていた体重が消え、代わりに重い沈黙がジョットにのしかかった。
その沈黙で、悟った。
困ったように目をそらす骸を見て・・・

それだけで、悟って・・・しまった。

「・・・・俺が死んでから何年経ってる?」
「さぁ?数百年です。細かい数字なんて数えたことがない」

自分がこれからたどることになる運命までも・・・
薄く悟ってしまった。

「そっか。俺じゃ・・・ないんだな・・・」
手首を両目に押しつければ、熱いものが伝わってくる。
無性に、悲しかった。
悔しかった。

そして、どうしようもなかった。

自ら視界を覆っていたジョットの腕をどかしたのは、骸の手だった。
大きい。今の自分の手に比べたら・・・ずっと大きい。

腕が顔から離れると同時に、一筋の滴がジョットの頬を伝った。
「泣いてるんですか?」
「おまえにそう見えるのなら、泣いてるんだろう」
「・・・捨てたのは君だ。どれだけ傷ついたか、知らないでしょう?」
「泣いたんだろうな」
「一日中泣いてました。ずっと、泣き続けてました」
「モモのほうが?」
「隼が・・・そう簡単に泣くとでも?」
そういう骸の顔は今にも泣きそうだった。
「最低だな、俺」
「そう思うのなら、変えてください、過去を。捨てないでください」
「それが出来なかったから今おまえがここにあるんだろう?」
困ったように目を細めれば、骸はクスリと笑ってベッドに腰掛け直した。スプリングがギシリと鳴る。
ジョットは上半身だけ身体を起こすと、骸の手に自分の小さな手を重ねた。
「これから何があるのか俺には分からない。きっと、知らないほうがいいんだろう。だけど、これだけは信じて欲しい。絶対に、俺の気持ちに・・・嘘はないから・・・」
「それで髀子が納得するとでも?」
「おまえに言ってるんだよ。おまえは、モモじゃない」
「・・・・どこまで分かってるんですか、君は」
骸は上に乗っていたジョットの手をどかすと、そのままジョットの顎に手をかけた。
無理矢理上を向かされて少し眉根を寄せたジョットを気にもとめず、そのまま額がくっつくくらいに顔を寄せる。
「ねぇ」
「さぁ?さっきも言ったが、俺にはこれから何があるのか分からない。どうして捨てたのかも分からない。でも・・・今のおまえがここにあることを思えば、結末は想像がつくだろう」
「言ってみてください」
「いやだ」
ふいっと視線をそらしたジョットに骸の目尻がひくりとなったが・・・相手はまったく気づいていない。

〝・・・変わりませんね、そのマイペースぶり・・・〝

本当にその想像した結末が当たっているのならば、言いたくないのは当たり前だろう。
今はまだ、初代メンバーでボンゴレをやっているのならば・・・
しかし、その未来はそんなに遠いことじゃない。
あっという間に・・・彼を・・・そして守護者を絶望へと突き落とすだろう。

「君のその身体で耐えきれますかね」
ぽつりと呟いた骸の言葉に、ジョットはふと思い出したように目を瞬かせた。同時に目だけを動かしてその小さな両手をジッと見つめる。
「そうだ。この身体は・・・」
「ああ、綱吉くんです。君が入っているせいでいつもの可愛らしい綱吉くんではなくなっていますがね。無駄に色っぽくなってしまって・・・」
「いろっぽ・・・?」
「会った瞬間に一目惚れですよ」
「・・・・そうか、よかったな」
ニコリと微笑めば、骸は衝撃を喰らったような顔をしてジョットにかけていた手を離した。
どうやら嘘ではないらしい。
「綱吉くんの顔でそういう表情しないでもらえますか?」
「なんか妬けるな」
「は?」
怪訝そうな顔をした骸にニヤリと笑いかけると、ジョットは骸の肩を掴んでそのままベッドに押しつけた。呆然としている骸に馬乗りになる。
そのままかがんで耳元に息を吹きかければ、骸の身体がビクリと小さくはねた。
「なぁ、骸・・・俺のこと、食・べ・て////」
「ちょ!何すんですかやめてください僕の綱吉くんはそんな卑猥じゃありません!!」
「ふぅん」
ニヤニヤしながら骸を見れば、顔を真っ赤にしてこちらを睨んできた。
意外とかわいい。隼とは大違いだ。
「でも・・・なんか、よかった」
「何がいいんですか」
「未来は絶望ばかりじゃない・・・ん、だな・・・」
「これから君が味わうのは絶望だけかもしれませんよ」
「それでもいいんだ。今骸がここにいることは絶望じゃない、だろ?」
「何百年後の話をしてるんですか、君は」
「・・・・さぁ・・・な・・・」
曖昧に微笑んだジョットだが、その身体が不意にぐらりと傾いた。骸が支える間もなくそのままベッドの上に横向きに倒れる。
「ちょ、どうしたんですか!?」
慌てて自分の身体を起こしてジョットを抱き起こせば、相手はうつろな目をして骸を見上げてきた。
「なんだか・・・眠いんだ。ぼ~っとする・・・」
瞼が半分ほど閉じかかっている状態のジョットに骸は一瞬ぽかんとなったが、すぐにふわりと微笑んだ。
「・・・・いいですよ、寝ても。そして今日のことなんて忘れてしまえばいい」
「忘れないよ。おまえと話して・・・いろいろ分かった」
「忘れてください。話しすぎました」
「忘れない。お前の名字、"六道"だろ?」
「・・・・忘れて・・ください」
「やだ・・・」
思い切り顔をしかめた骸だったが、すでに完全に瞼を下ろしきったジョットにはその不機嫌顔は見えなかった。
「あ、と・・・、・・・・愛して、る、から・・・」
それだけ言うと、ジョットはコトリと眠ってしまった。
あとには規則的な呼吸音が保健室に静かに響いているだけ・・・
「・・・・どっちにですか」
まぁ、決まってますけどね・・・そう口の中で独りごちると、穏やかな顔をして眠っているその綱吉の頬をそっと撫でた。
「面と向かって言われたのが今更なんてね。悲しすぎると思いませんか?綱吉くん」

開け放してあった保健室の窓から風が流れ込んでくる。
その風が優しく綱吉と骸の髪を撫でていく。
目にかかりそうな綱吉の髪を手でそっとどけてやると、骸は眠る綱吉にニコリと笑いかけた。

「まぁでも、絶対に・・・許してやりませんけどね」

















「ほうほう。それで、おまえはジョットじゃなくてずっっっっと後の未来から来たジョットの子孫だと」
「そ、そうです」
「そんなわけあるかぁあぁぁああぁあっー!!ふざけんのも大概にしろよジョット!!」
「ふっ、ふざけてなんかません!!」
守護者全員が集まる執務室。
しかし必死で一樹を説得しようとするツナの努力はどうやら実りそうにない。
「おまえアレだろ!仕事したくないばっかりにそんなよく分からない演技を・・・」
「ひ、酷い・・・」
涙を浮かべて俯いてしまったツナに、一樹はさすがにギクリと身を強張らせた。
「な・・・泣いて・・・も・・・」
「アーア、泣カセター!一樹泣カセター!」
「っていうか演技にしちゃぁちょっと出来すぎてるだろ」
そう言ってツナのほうに歩み寄ってきたのは信二だった。
「んで?お前がジョットじゃないとしたら何でこんなことになってんだ?」
「・・・・知ってたら苦労しません」
ぷーっと拗ねたように頬を膨らませて横を向いたツナに、信二は衝撃を受けたようによろよろと後退った。衝撃を受けたのは他の人たちも同じのようだ。
「ヤバイぜってぇジョットじゃねぇありえねぇ」
「ヤバイ俺不覚にも今ジョットを可愛いかもとか思ってしまった・・・」
「いえ僕は実際にときめきました」
「ヤバイヨーヤバイヨー!」
「・・・・・・」
「おい髀子おまえも何とか言えよ」
「・・・・ジョットじゃない・・・」
そう呟くと、そばに寄ってきた髀子がいきなりツナの両頬を包み込んだ。
「へ?え、わっ/////」
いきなり顔を覗き込んできた髀子に、ツナは椅子から転げ落ちそうになった。しかしがっちり捕まえられているため転げ落ちることも出来ない。
しかし、やはり見れば見るほど髑髏先生に似ている。ぽや~んとした感じの髑髏先生とは違い、少しキツイ顔つきをしているが・・・
「・・・キレイ」
「え・・・」
至近距離で頬を染めてそう言ってきたツナに、今度は髀子の頬が一気に上気した。放心したようにぽろりと両手を放す。

〝こんな顔もするんだな〝

呑気にそんなことを考えていたツナだったが、ふと最後のシーンが脳裏によみがえった。
泣き崩れていた髀子。
そこに最後にいたのは・・・

〝言わないほうが・・・いいんだろうな・・・〝

きっともうすぐ彼女に・・・彼らに絶望が襲いかかるのだろう。

髀子は今幸せなのだろうか。そして、あの後は幸せになれたのだろうか。

分からなかった。

ただ、今、この瞬間は、少なくとも・・・

ただの恋をしている普通の女の子に・・・見えた・・・・


「ひとつ言ってもいいですか?」
「・・・・?」
放心状態から戻ってきた髀子は小さく首を傾げる。そのような仕草も可愛らしい。
きっとジョットも同じことを思うのだろうなぁと思いつつ、ツナはニコリと髀子に笑いかけた。

未来は絶望ばかりじゃないと・・・信じてる。

「あのね、髀子さん。これから何が起こるかは言えないですけど・・・最後までジョットのこと信じてあげてください。きっと、思いはずっと変わりません。ずっと、あなたの知るジョットのままだから・・・・だから・・・」

だから・・・なんだろう。
髀子は許せるだろうか、ジョットを。
最後まで思い続けてくれるだろうか、ジョットを。

そもそも、髀子の幸せとは・・・いったい何なんだろう・・・

「・・・・なんでもないです。今言ったこと、忘れてください」

ツナは曖昧に微笑むと、書類が散らばる机の上へと突っ伏した。
なんだろう・・・
すごく眠い・・・

「どうしたの・・・?」
心配そうな声音が遠くに聞こえる。
ふと手に温かいものが触れた。それが髀子の手だと理解するまでには数秒もかからなかった。
ぼんやりする頭のまま、手だけはギュッと握り返す。

だめだ、眠い。

「未来は・・・きっ、と・・・絶望だけじゃない、です・・・か、ら・・・・」

意識が遠のく。
他の人が騒ぐのが聞こえたが、すぐにもやもやと霞んで遠くへ消えてしまった。

沈んでいく。

深いところに・・・・・

沈んでいく・・・・・










「ここ・・・は・・・」

気がつくとそこは何もない世界だった。
浮遊感はないが、自分が地面に立っているという感触は全くしなかった。
色があるのかも分からない。
自分が息をしているのかも分からない。
そんな感覚。

ただ自分足下を見れば、自分の姿だけはしっかり認識できた。

再び360度ぐるりと見回す。
そもそもちゃんと360度回ったのかどうかも定かではないが・・

「綱吉」
「へ!?」
再び前方へ目線を向けると、そこには・・・
「じょ・・・初代・・・」
確かにさっきまではどこにも誰もいなかったのに・・・
悠然と微笑むジョットの姿があった。

目を丸くして凝視してくるツナに近づくと、ジョットはツナの頭をぽふぽふと優しくたたいた。
「はじめまして、だな。綱吉」
「あ・・・」
ツナの方は何度もジョットの姿を目にしていたが、ジョットから見れば今初めてツナを見たことになるのだろうか。
「へぇ・・・」
ジョットは小さく首を傾げると、ツナの両頬をがっちりと捕まえた。緊張して固まってしまったツナを気にもとめず、じろじろと顔を眺め回す。
「けっこう、可愛い顔してるな」
「は!?」
思いもよらない言葉にツナがぽかんとなる。
「いや、はじめは俺に似てるかなぁとか思ったけど・・・もっと柔らかい顔をしてる」
そう言って目の前で優雅に微笑むジョットに、一気に顔が熱くなる気がした。近い。顔が、近い。
「全然・・・似ていない、です」
ジョットの方が背も高い。ルックスもいい。それにキラキラ輝く金色のような髪も違う。自分よりずっと・・・知的な感じがする。
何より、自分より、ずっと、ずっとかっこいいと思う。

拗ねたような顔つきになったツナに不思議そうにするジョットだが、その表情すらもさまになっている。
本当に自分はこの人の生まれ変わりなのだろうか・・・
そんな疑問が頭をよぎってやまない。

この人がボンゴレを立ち上げた。
そして、守った。
そして、捨てた。

どれほどの苦労を・・・苦痛を、これから味わうのだろう。
全く想像できなかった。
受け継ぐことと、立ち上げることは全然違う。
ツナが見たジョットは、誰よりも気高く、誰よりも優しく、誰よりも残酷だった。

今目の前にいるジョットからは、そのような雰囲気は全く受け取れなかった。

ただただ純粋に、自分を見つめているだけ。

「・・・って、いつまで見てるんですか」
「あ、いや。うん。骸があれほどまでに絶賛する綱吉だからな。しっかり目に焼き付けておこうと思って」
「骸先生に会ったんですか?」
些か驚いてジョットを見返す。自分が初代守護者たちに会ったのだから、ジョットは学園の誰かを会うのは必須だっただろうから別に不思議でもなんでもないのだが・・・
ややこしいことにならなかったのだろうか・・・
「なんか・・・複雑な気分だ。すごく」
そこでやっとツナから手を離すと、ジョットは小さくため息をついた。
「骸は・・・おまえにゾッコンなんだなぁ・・・」
「は!?」
思わず顔が引きつる。やめてほしい分かってはいるがそのことには触れないで欲しい。
「・・・骸先生は・・・俺にあなたの面影を見てるだけでしょう?
「・・・・・」
じっとツナを見つめれば、ツナは居心地が悪そうに目をそらせた。
本当にそう思っているのだろうか。
実際に自分が迫っても・・・拒絶された。
骸が愛しく思っているのは、はじめはどうであったか知らないが、今現在は・・・、目の前にいる沢田綱吉なのだろう。
「そうでもないと思うがな」
「へ?」
不安そうな顔で見上げてきたツナを思わずぎゅっと抱き寄せる。
ぎゅうっと自分の胸板に押しつければ、じたばた暴れるツナから小さく悲鳴が上がった。
可愛い。
「なんか妬けるなぁ」
「ふぇ?」
自分でもどちらに妬いているのか分からない。
しかし・・・どうしようもなくもどかしかった。

無性に・・・髀子に会いたくなった。


「・・・大きくなれよ、綱吉」
「ひゃあっ」
脇を抱えて高々と持ち上げる。あどけない顔を見上げながら、この小さな子孫の行く先に幸在ることを願った。

どうして自分たちが時間を超えて入れ替わってしまったのかは分からない。
ただ、きっとそれは必要だったから・・・
自分の未来に必要だったから・・・
今、綱吉が生きているために必要だったから・・・

「難しいことは分からない。だが、骸に会えてよかった。おまえに会えて・・・よかった」
淡く微笑まれれば、ツナの心が何故かジクリと痛んだ。
「初代・・・負けないで・・・何があっても・・・負け、ないで・・・」
ジョットがツナを下ろすと、ツナは今度は自分からジョットへと抱きついた。
分かっている。ジョットは強い。負けない。
でも・・・
どうしようもなく、不安で仕方がなかった。
ぎゅうっと力をこめて抱きつけば、よしよしと頭を優しく撫でられた。
「優しいな、綱吉は」

どうしよう・・・
泣きそう・・・

「・・・・そろそろ、時間か」
「え?」
涙のたまった目で見上げれば、ふわりと笑ったジョットが無言でツナから離れた。
その身体が淡く・・・透けていく・・・・
ツナも自分の身体を見れば、薄くなっているのが分かった。
同時に意識まで薄れていく・・・


「ありがとう、綱吉」


最後にそんな言葉が聞こえた気がした。

















意識がぼんやりと戻ってきた。
「ん・・・ぅ・・・・?」
うっすら目をあける。
天井が見えた。
どこだろう。ここは・・・・
なんとなく顔を横に向けて・・・
「っ・・・」
絶句した。
「起きましたか、綱吉くんv」
「っふ、わぁぁあああぁぁああっっ!!!」
目の前で、本当にツナの顔の目の前でニッコリ微笑む骸に一瞬心臓が止まる思いがした。
本気で寿命が縮んだ気がする。
「むっ、骸先生・・・!!なっ・・・ん、で・・・」
「どうしたんです?君、ずっと眠ってたんですよ?」
「え・・・」
上半身だけを起こせば、骸がずいっと顔を寄せてきた。赤と青のオッドアイが骸から目をそらすことを許さない。
「何か夢でも見てたんですか?」
「夢・・・そういえば・・・・」
「いや、君は覚えてない。そうでしょう・・・?」
「え?」
赤い瞳に吸い込まれる。

すべてが・・・

「・・・・・覚えてない、です・・・」

あれ・・・・?

首を傾げる。
今の今まで覚えていた気がするのに・・・

ぽかんとした顔で骸を見れば、骸は意味深にニヤリと笑っただけだった。

「きっと、思い出しますよ。来るべき時が・・・来たらね」


















「起きてください、家康くん」
「・・・・・?」
「それともまだ家康くんじゃありませんか?」
机に突っ伏していた顔をのそりと上げる。
目の前にしかめっ面の顔。
「骸・・・じゃない・・・隼・・・?」
「誰ですか、ムクロって」
ああ、隼だ。
そう思って完全に起き上がった。軽く伸びをして椅子に腰掛け直す。
「可愛かったなぁ・・・・綱吉・・・」
「誰ですか、ソレ」
あからさまに不機嫌な顔で隼が睨んでくる。
それを軽く無視して部屋全体を見れば、何故か守護者が全員勢揃いしていた。
「みんなどうした?」
「おまえのせいだろアホーーーーーーー!!!!」
何故か一樹に思い切り殴られた。
殴られた頭を押さえつつ顔を上げれば、目を丸くした髀子と目がバッチリ合った。

ああ、会いたかった・・・

「ジョット・・・・?」

今の彼女は何も知らない。
今はまだ・・・純粋に・・・言える。

「今日も可愛いね、モモ」






【おわり】



‥‥……━★

ここまで読んでくださってありがとうございました!!!
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